法人で仮想通貨取引を行う場合の注意点

仮想通貨取引で利益を得た場合、原則として法人の方が税制上有利なのですが、特定の状況では個人よりも税金が高くなってしまうことがあります。

税金面では基本的に法人の方がお得だが…

個人で仮想通貨取引を行うと、利益が大きくなった場合には高額な所得税・市民税が発生します。一方で、損失が発生した場合には雑所得以外の所得と損益通算できず、また翌年以降に損失を繰り越すこともできません。

つまり、個人で仮想通貨取引を行うと利益が出ても損失が出ても、税制上は不利なのです。

一方、法人として仮想通貨取引を行えば、課税所得が大きくなったときの税率は所得税・市民税よりも法人税の方が低いため、同じ利益であっても法人の方が、税負担が少なくなります。

さらに、法人であれば仮想通貨取引などで発生した損益は、他の利益や損失と通算できる上に、青色申告を使って確定申告すれば、損失が出た場合には翌年以降に繰り越すことも可能です。

また、法人と個人では法人の方が比較にならないくらい多くの節税策を利用することが可能です。

そのため、法人と個人で仮想通貨取引において同じくらい利益を上げたとしても、利用できる節税手段の多さから法人の方が利益を圧縮し、税金の負担を減らすことが可能です。

このように、原則として法人の方が税制上有利になっています。

ただし、場合によっては、法人化して仮想通貨取引を行うことで、逆に損をしてしまうこともあります。

法人の方が税金が高くなるケース

利益が大きい場合は、個人に課せられる所得税・市民税よりも、法人税の方が税率が低くなるため、同じ利益であっても法人の方が税負担が軽くなります。

特に所得税は累進課税のため、利益が大きくなれば大きくなるほど税率が上がります。

一方、法人税は税率が一定。企業規模などによって税率が変わることはありますが、利益の大きさで税率が変わることはありません。

2018年の法人の実行税率は37%と言われています、ただし、中小企業では条件を満たせばもっと低い税率が適用され、20%程度になる会社が多いようです。

つまり、単純に考えると、所得税と市民税を合わせた税率が20%以上になるのであれば、法人税の方が税率が低くなります。

逆に考えると、所得税と市民税を合わせた税率が20%を大きく下回る場合には、法人の方が税率が大きくなって、税負担が増えます。

実は、課税所得が195万円以下の場合は、所得税の税率は5%となります。市民税の10%と合わせると15%になり、法人の税率20%よりも税率が低くなります。

つまり、課税所得が195万円を下回るときは法人よりも個人の方が税金が安いのです。

※なお、ここで注意しておきたいのは195万円というのは課税所得、つまり仮想通貨取引で得た利益から経費を引いた、純利益のことです。

さらに、法人の設立・維持にはある程度のコストが必要になります。

現在では、法人は資本金1円から設立できますが、登記などで20万円から24万円の費用は必要になります。

また、意外と馬鹿にならないのが税理士に支払うお金。

法人になると個人事業主とは比較にならないほど会計処理が煩雑になるため、経理の知識・経験がなければ個人で行うのが難しくなります。

また、経理の知識や経験があったとしても、本業が忙しい場合には、自分で処理するのは難しいでしょう。

そのため、税理士に依頼することになりますが、利益が少ない場合には税理士に支払う報酬も負担になってしまいます。

利益が大きい場合は、法人の設立・維持に必要な費用を支払っても十分な節税効果を得られます。

しかし、利益が少ない場合には、個人よりも税金が高くなる上に、法人の設立・維持に必要な経費によって、利益がさらに圧迫されることになります。

結論を言うと、利益が少ない場合は、法人よりも個人の方が税金やコストが少なく済みます。

法人で仮想通貨取引を行う場合は、法人用アカウントの開設が意外と手間?

実は、法人で仮想通貨取引を行うことのデメリットは、利益が少ない場合に税金が高くなったり、法人の設立・維持に必要なコストが重たくのしかかってくるだけではありません。

法人で仮想通貨取引を行う場合は、個人用アカウントと法人用アカウントを分けなければいけません。

そして、この法人用アカウント開設が意外とネックになるのです。

まず、法人用アカウントをつくれる取引所が限られています。ビットフライヤーやザイフでは法人用アカウントをつくることができますが、GMOやDMMではつくることができません。

また、海外の取引所も原則として法人用アカウントをつくることはできません。登記謄本などの日本の書類をどのようにして審査するのかという問題もありますし、そもそも制度としてそこまで整備されていないため、海外の取引所で法人用アカウントを持つことは現時点では不可能です。

法人として仮想通貨取引を行いたいなら、まずは法人用アカウントをつくることができる取引所を利用することができます。

次に、法人用アカウントをつくる場合には、個人の場合よりも審査が厳しいと言われています。

さらに厄介なことに、一度審査に落ちてしまうと、その法人では二度とアカウントをつくることができなくなります。

仮想通貨取引を始めるために法人を設立したのであれば、肝心の法人用アカウントを作れなくては意味がないでよね。

審査基準等は公表されていませんが、この点は大きなリスクです。

法人用銀行口座も必要

取引所から日本円を出金するときには、当然ですが銀行口座が必要となります。

法人として仮想通貨取引を行う場合、上に書いたとおりアカウントも法人専用のものを用意する必要がありますが、銀行口座も法人名義のものが必要です。

法人用アカウントから個人名義の銀行口座にお金を出金することはできません。

仮想通貨取引所の法人アカウントをつくる際には、個人よりも厳しい審査がありますが、実は銀行口座の場合も法人名義で作る場合は厳しい審査があります。

特にメガバンクの場合には審査は厳しいと言われています。

個人であれば、身分証を持って窓口に行けばよほどのことがない限り簡単に口座を開設できますが、法人の場合はそうはいきません。

電話や面談で事業内容などを確認されたり、場合によっては事務所を担当者が訪問することもあるようです。

そのため、資本金や事業計画などをしっかりと答えられるように、ある程度の準備が必要です。

法人をつくって仮想通貨取引を行う場合のリスクを説明しました。

まとめると、①利益が低い場合には個人よりも税金が高くなる、②法人の設立・維持には一定のコストが必要となるため、利益が低いとそのコストのために赤字となってしまう可能性がある、③仮想通貨取引所の法人用アカウントや法人名義の銀行口座開設は審査が厳しく、落とされることがある、の3点が主なリスクです。

すでに会社を作っている方はそのまま会社として仮想通貨取引を行ない、十分な利益さえ出せば問題ないですが、個人事業主の方などが新たに法人を作って仮想通貨投資を行う場合は、上のようなリスクがあることを十分に理解した上で法人を設立してください。

ただし、利益が十分に上がるのであれば、法人の方がはるかに節税上は有利です。

今後法律や税制が変わる可能性はありますが、現時点では個人が仮想通貨を行うと、利益を出しても損失を出しても不利な税制となっているため、法人として取引を行うのは利点の方が多いと言えます。

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